PS2/薄桜鬼 〜新選組奇譚〜 感想

発売日:2008年9月18日
価格:通常版6,800円(税抜),限定版8,800円(税抜)
ジャンル:女性向け恋愛AVG

切なさ100%。
言うまでもなく新撰組を題材にした「薄桜鬼」ですが、
萌え要素である“新撰組”という枠に留まらず、
“ヴァンパイア”設定に“カズキヨネ氏のキャラデザという最強すぎる要素。
しかも製作側はかなり時代背景や史実を勉強していて
世界観の作りに手抜きが一切ありません。
それだけに新撰組自体が史実上悲劇と言える運命を辿っているので
話の展開はどれも重かったり切なさ100%だったりで
明るい物語を好むプレイヤーにはちと辛いかも。
死にネタ含むし。けど新撰組物二次作としては確実に名作。



とりあえず参照までに歴史上での隊士の末路をば。
新撰組スキーならご存知とは思いますが。(反転にて参照)

 ・土方歳三  → 銃弾で落馬により戦死。
 ・沖田総司  → 肺結核により病死。
 ・斎藤一   → 72歳に死去。
 ・藤堂平助  → 油小路事件で討ち死に。
 ・原田左之助→ 負傷が原因で死亡。

ご覧のように幕府軍と新政府との戦争中に死亡する人多数なのですが
「るろうに剣心」でもご存知のように一さんは存命だったりします。
けどルートによっては史実に縛られずオリジナルの展開を走っていて
それなりのハッピーエンドを作り上げています。
かなりの割合でエンディングが余生を過ごす老人のようで
痛々しいのもありますが、時代の荒波を駆けていた様を
見てきた後に見るエンディングは一層の感動。

しかも途中で隊士達の洋装に変更とか
未だ嘗てここを萌えとして機転させた者がいたでしょうか、いやいない。
キャラによっては断髪でイメチェンに惚れ直し。スタッフGJ。


元々新撰組自体が男子高校生の和気藹々とした雰囲気で
純粋で不器用で強くて誠実で正にラスト侍。
萌えない乙女などこの世にいませんよ(´∀`)


そんなべた褒めな「薄桜鬼」で唯一勿体無いなと思えたのは主人公の設定。
新撰組がかなり出来上がった設定だけに後半の動乱になっていく中で
正直足手まとい感が強く正式な隊士ではない主人公が
新撰組と共にしている理由が弱くなっているので
そこに違和感を感じずにいられないのがとても残念。
設定自体は悪くないんだけど、
もうちょい違和感を腐食するだけの何かが欲しかったな。
あと薫ルートも欲しかった。1つのルートで終わらせるには勿体無い。





 ■キャラ考察■

【土方 歳三】

ラストにゾクッと来た。
どのルートでも史実にかなり忠実に作ってはいますが、
新撰組の中でも深い人生を送っていた副長は
それだけで神レベルの物語で『その後土方さんの末路はこうなりました』と
あらすじで終わらせることの多い顛末もきっちり物語として展開させていて、
製作スタッフによる作品愛がひしひしと伝わってきます。
そしてラストの決戦は鳥肌物。あんなゾクゾクする乙女ゲシナリオは初めて。

あと豊玉ネタももうちょい拝みたかったです。
まぁこれはファンディスクに期待っと(´∀`)



【沖田 総司】

己の新撰組の好き隊士ランキングでガチ一位に輝くお方。
どの二次作でも天才肌で美形で悪戯っ子な沖田総司が萌えるのです。
早期に戦線離脱をする彼は流石に他のルートだと無い者扱い。
負け戦で気が回せないのは確かだけど
あまりに早く出番がなくなってしまうのは寂しかったです。
あと早期離脱の穴埋めからか、展開も結構オリジナルだけど
沖田総司のイメージを損なわず且つ乙女なシナリオで楽しめました。
あと熱血系イメージ寄りの森久保ボイスも意外に合っていてスタッフGJ。



【斎藤 一】

己の新撰組の好き隊士ランキングでガチ二位に輝くお方。
総司と同じく天才剣士と名高くクールで出来る男・斎藤さんは
「薄桜鬼」では高度なクーデレでガチ二位に相応しい人物でした。
洋装の着方に戸惑い釦を掛け違える斎藤さん可愛いよ斉藤さん(´∀`)
るろ剣フリークとしてはエンディングで
うっかり「時尾さんはどうした」とツッコミたいところですが、
きっと主人公がのちに偽名にしたのが時尾だったと自己完結してみる。



【藤堂 平助】

洋装化でのビジュアルは少年らしく見えて萌えます。
けど動乱の中では年下扱い設定も無力でした○| ̄|_
年下設定は自分も萌え要素の一つなんだけど
今回は新撰組隊士萌えランク入り連中に妨害され
全体に比べると評価が低めになってしまった気の毒な八番隊組長。
風間さんとの絡みは微笑ましくて好きなんだけどなー…。



【原田 左之助】

新撰組の物語として一番良かったルートは土方さんだけど
乙女なシナリオして一番良かったのは左之さんでした。
それはもう全攻略対象の糖度を集結させたくらい甘々。
若干のヘタレさもこの糖度の高さじゃ無敵なんだぜ(´∀`)



【風間 千景】

“実は無自覚に新撰組フリークだった自分が添乗員さんと一緒に
新撰組巡りをしていたらいつの間にか添乗員さんに惚れていた旅行者”
のようなほのぼのとした展開で誰よりも微笑ましいシナリオでした。
主人公と二人揃って新撰組スキーとか、お前らイイ夫婦になるよw
ブランド:オトメイト
[2009.06.17]