PC/Princess Britania〜ミューズの宝剣〜 感想

発売日:2017年12月22日
価格:6,800円(税抜)
ジャンル:Neo Heroic Opera ADV

一時期と比べ乙女ゲでもBLでも女性向け18禁ゲームの進出が減少してしまい、昨今の市場に寂しく感じつつも、彼の老舗・アリスソフトですら撤退の判断をしたことをこの手の話題の度に思い出し実入りの難しい商売だなぁと改めて実感。

そもそもパソコン性能が日々移り変わりゆくので動作環境で遅れを取るためパソゲーはコンシューマよりも在庫を早急に捌く必要性が高く、資金の回収と名を売って次回作への道を繋ぐのが対象となるユーザーの少なさで更に厳しい。そんな市場だからこそ新規参入の方は何にせよ喜ばしくあったり。
今回の「Princess Britania」は過去「コードギアス」に熱中し、「ハリポタ」「ホームズ」とイギリス贔屓な自分にとって度ストライクのモチーフ。体験版にも事前に手を出すほど楽しみにしていたタイトルだったのでそれはそれは発売が楽しみなタイトルでした。


先に結論を言うなら
『シナリオだけは
 手堅くまとまった一作』

物語は長く続いていた戦争が停戦後に相手国の要人が襲われることから燻る戦火を収めるべく動き始める導入で、事件の真相を知るべく呼び水はばっちり完備。両国のお国事情の設定がしっかりしているので世界観にも溶け込みやすい。不遇な家庭環境で育ち剣術の腕はあるが脆い部分があるヒロインが事件追求と主に攻略対象との絡みで精神面が成長していく過程も非常に楽しめた要素の一つ。
攻略対象もヤンデレ因子持ちの幼馴染、ツンデレ王子、主人公第一の万能執事、根は真面目らしい軽薄系男子の傭兵、謎の男、と乙女ゲで鉄板設定の人々。それぞれ個性が活かされていてどのルートもハズレなく、好みでないタイプでも物語の根幹がしっかりしているので楽しめるかと。
ほぼ一本道のシナリオでバッドエンドが多め。フルプライスより安価なせいか一周が4・5時間で終わってしまう短さはせっかく世界観がしっかりしているのに勿体ない。Hシーンのバリエーションも然程広くないのでここも勿体ないなーと思う。

イラストへの感想は、女王陛下への謁見や他国で着用するドレスが自宅にいる時に着用しているものと同様、別の場所なのに使いまわされる背景数点、たまにおかしい体位など、全体を通して綺麗な絵ではあるけれど立ち絵の少なさや一部デッサンの不自然さがあり、この辺もフルプライスより安価なことが影響しているのか勿体ないポイントの一つ。
しかしどのスチルでも全員良い表情をしているので十二分に及第点は突破。オーランドルートではコミカルさが他ルートより目立っていたのは間違いなくスチル効果があったと思うし。


手堅くない最大の理由にしてこのソフト最大の欠点は
『デバッグが圧倒的に足りていないこと』
誤字脱字は勿論、システム文字の痕跡、台詞と噛み合わない音声、選択肢通りに展開しないシナリオ文、リストに登録されない一部エンディングにムービー数種、発売から5日経過後に配布された修正パッチ(ver1.01)でも修正しきれないのは最早システム面のスタッフは怠慢じゃありませんかねぇ。
メイン武器である絵とシナリオが頑張ってくれているからクリア後も叩くまで行かなかったけれど、プレイ一周目で目に付きすぎるのかいかがなものかと。メーカーのお偉いさんはデバッカー共を減給してもいいと思う。


綺麗に完結しているので今後ファンディスクとか出ても多分興味はそそられないだろうけど、やって損はなかったタイトルだった。次回作ではデバッカーに通常の3倍は頑張って頂きたく。
ブランド:girls dynamics
[2017.12.29]